資格試験の勉強法はどうするのか

結論、その答えは合格するように勉強すること。つまり、受験要項にある合格基準の得点を取れるようにすることです。この事に関する例えば以下の様な疑問や反感のあることは容易に想像できます。

「合格基準の得点を取れるようにするってどうするよ!」
「それが解ってたから参考書を何回も読んだけどダメだったぞ!!」
「そもそもさ、『そうすることができたら苦労はしない』つーのう!!!」

それにもかかわらず冒頭のように述べた訳は、合格点が取れるとの思い込みから他の記事で書いたように「キチンと」「マジメに」「気合いを入れて」「根性を出して」とする精神論的な(但しそれで合格できたら問題ないが、実際は苦労した割にはそうでない)勉強に受験生の多くが陥るからです。勿論、初受験から合格できた受験まで長年を要した経験からして、先の疑問や反論を胸が痛くなるほど理解できます。

合格基準の得点を取れる勉強

合格基準の得点を取れるように勉強することはどうすればできるのか。資格試験の設問は共著「マインドマップ資格試験勉強法」でもご案内したように、その7割が過去問の組み合わせから作られます(もともとが資格に関係した行政機関のすることですから、決して大幅な刷新をするのでなくて、しくしくと前例を踏まえることを重んじる訳です)。よって、先の答えはできれば10年分、最低でも5年分の過去問の答えでなくてその解き方を覚えることです。

では、合格基準の得点を取れるように五年や10年分の過去問解法を覚える(ただ覚えて終わりでなくて試験本番ですらすらと解き方をそらで思い出せるように暗記する)ことはどうすればできるのか。答えは、それを暗記できるように忘れかけた頃に繰り返されたことを数ヶ月後や数年後あるいは一生に渡って思い出せるようにする脳が蔵する記憶に関する仕組みからして一例として次のような一定期間をおいて結果的に約2か月間に最低でも五回として五年や10年分の過去問を解く(共著「マインドマップ資格試験勉強法」てはリピート勉強法とした)のです

2回目は1回目から1日後に (苦手科目なら1時間に)
3回目は2回目から1週間後に(苦手科目なら1日後に)
4回目は3回目から2週間後に(苦手科目なら1週間後に)
5回目は4回目から1か月後に(苦手科目なら2週間後に)

念のために付け加えますが、上記のように繰り返して過去問を解けば過去問解法の暗記ができて合格が約束される程に資格試験が容易でないことはご賢察の通り。ですから、繰り返してそうしている勉強の効果検証ができる様に試験の数ヶ月前から定期的に模試や答練を受けることが「勉強できている」と言った不合格を招く勘違いを避ける為、つまり未処理の弱点を洗い出してそれを解消して確実に合格を目指せる検証勉強法をすることが賢明です。

基礎的な知識や技能を得る勉強

とは言え、「いきなりそうするのって無理ゲーっ」と感じるのは当然です。初学の受験生は過去問を解く為の基礎的な知識や技能が足りない事から特にそうでしょう。ではどうすれば良いのか。それは知識や技能を身につけられるまで法令集や参考書(予備校をご利用ならばそのテキスト)を繰り返して読むこと。補助として聴覚教材やビデオ教材を(ただ聞き流したりしても効果が決してないので、あることをすることを前提で)繰り返し見聞きすることです。

ですが、受験生の誰でもが合格できる可能性は無限に有していても、その可能性を追求することに資する時間はあくまで有限です。そうでなくても、試験勉強の他に仕事や私事(掃除や洗濯そして炊事)などに1日が24時間しかない時間を分配する必要があることからして、できるだけコスパやタイパをよくできる知識や技能をつけられる読書をしたいはず。ではそうした読書はどうすればできるのか。

効率的な読書をする為の勉強

それは、過去問を解く為の知識や技能、換言すれば過去問に正答する為必要な弱点の補填をする(つまり不足している知識や技能を補う)ことを目的にして法令集や参考書を読めば良いわけです。と言うと、「それが解ってれば悩まないわよ」と眉間に青筋の立ってくる方もおいででしょう。それには自分の弱点を把握できる一問を一分くらいで解いて(と言うよりもむしろ答えを予想して)答え合わせをする勉強法(共著「マインドマップ勉強法)で「カンニング勉強法」とした)を最低でも5年分の過去問で行います。

そうすると、それなりに知識や技能を有していた分野や科目で比較的に得点ができる。そうでなかったところは得点ができない。得点という客観的な指標に基づいて自分の得意科目やこの弱点や、逆に自分の不得意科目やこの弱点を把握できます。カンニング勉強法で更に重要なことは、過去に繰り返して出題され(デ)ていてこれの解き方を自分が知ら(シラ)ない「デシラ」を認知できることです。

デシラを補強するリンキング勉強法

カンニング勉強法からデシラを認知したことによって、知識や技能を補う為の参考書や法令集を読むべきところは、得意科目で仮に満点を取っても不得意科目で合格基準の得点を取れなければ不合格に陥ることを回避することからして、次の様に進めるピンポイント的な読書をするが得策のはずです。

不得意科目の強いデシラを解消できる章や段落
不得意科目の弱いデシラを底上げできるような箇所
得意科目の強いデシラを解消できる章や段落
得意科目の弱いデシラを底上げできるように箇所

但し、不得意科目の特に弱点を補強できる章や段落から読むにしても、用語の定義や計算の公式と言った基礎知識は必須ですから、これを補える章や節も読むべきことが前提です。加えて、デシラの過去問と読んでいる箇所との相谷リンキングを施します。過去問解法を覚える為に繰り返して過去問を解く勉強をしている時にこの段階で読んだ箇所を参照したい場合の生じることが予想されることに対応できるする為です。「デシラ」の過去問と参照する箇所との間に相互リンクを張ります。

例えば、デシラの過去問の側に「参123」などと参照先が「参考書の123項」であることを表した参照注記を書きます。また、読んでいる参考書(法令集)の箇所にデシラ元である過去問を確認できる情報として例えば「R3-9」と「令和3年9問目」を意味する付記をします。こうしてリンキング勉強法をしておきます。

確かに面倒に感じます。しかし過去問を繰り返し解いて解法を覚える段階に至ったとき、自分が誤答をした問題を正答に転じる為の情報を参考書や法令集から再読する際にリンキングをしてくれた過去の自分に感謝をしたくなるはずです。また繰り返して法令集や参考書を読む際にもデシラ解消の為に行っていることを認知できて、「オレ・アタシってデシラの補強をやれているんだ」と有意義さを認識できます。やる気を維持しやすいはずです。

仮に、デシラを解消するような勉強(読書)をするのでなくて、「参考書や法令集はもう三回も通読したから勉強できた」と漫然とした読み方をして放置したらどうか。そのデシラは本試験の設問でゴジラに変貌して貴方の合格を木っ端微塵に踏み潰してしまうかも知れません。自己満足的な読み方にはご用心。

合格を目指せるバックトラック勉強法

以上から、合格できる勉強(=合格基準を満たせる勉強)は、合格基準の得点を取れる勉強からデシラを掴むカンニング勉強法まで遡って(NLP的に言えばバックトラックして)これを説明しました。これをバックトラック勉強法と呼称して時系列で整理することで概要を以下のように提示できます。

  1. デシラを認知するカンニング勉強法をする
  2. 参考書や法令集でデシラを補填するリンキング勉強法する
  3. デシラの完全解消に過去問を繰り返し解くリピート勉強法をする
  4. 模試や答練を定期的に受けてリピート勉強法の効果をみる検証勉強法をする