こんにちは、こんばんは
マインドマップ歴三十年超えの近藤です。
今回の主題は「防火地域及び準防火地域の建築物」。左記の長い標題を冠する建築基準法第六十一条である。この法文は耐火建築物に関する頻出事項として多彩に出題されてきた。平成30年に公布、改正された。旧第六十一条と旧第六二条と旧六十四条とを統合したもの。ネットに旧情報がまだ散見されるので要注意だ。
以前、私はChatGPTに法文チェックリストの作成させようと試みた。その際、法第六十一条に関して混乱を覚えた。ChatGPTの出力を検証する為に様々なネット情報や最新法文を閲覧できるe-GOV法令検索を参照した。ChatGPTは新法文よりも旧法文を優先的に学習していた。旧法文を主にした回答を繰り返した。世に言うハルシネーションを頻繁に行ったからだ。
本法文の骨子から見てみると「建築物は、防火設備を設け、壁、柱、床その他の建築物の部分及び当該防火設備を、防火地域及び準防火地域の別並びに建築物の基準に応じて、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものとしなければならない。」と長い。
3つの旧法文を1つに統合したから長々しくなるのは仕方ない。それを端的に言えば「建築物は防火地域及び準防火地域の別並びに建築物の基準にあわせて耐火性能や防火設備を持たせる」とできる。だが、試験対策だけでなく実務も共に視野に入れると細々とした詳細を見すごす訳にはいかない。順に法文を見ていこう。
本法文は右のように始まった。改正前、この法文番号を冠する法文は防火地域の建築物を延べ面積や階数に応じて耐火建築物等にすることを規定した。次の法文番号を振られた法文は準防火地域の建築物を同様にして規定した。だが改正後つまり現在、この法文番号を冠する本法文は両方の地域を統合した規定となっている。
ここは延焼のおそれのある部分に設けるものと建築物の各部分を延焼防止の目的で「その外壁の開口部で延焼のおそれのある部分に防火戸その他の政令で定める防火設備を設け、かつ、壁、柱、床その他の建築物の部分及び当該防火設備を通常の火災による周囲への延焼を防止するために」と規定する。
つぎに「これらに必要とされる性能に関して防火地域及び準防火地域の別並びに建築物の規模に応じて政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものとしなければならない。」として本法文の主旨が提示される。上の政令は見ておくことが肝要だ。
最後に(補足)を除いて見ていくと本法文は「ただし、門又は塀で、高さ二メートル以下のもの又は準防火地域内にある建築物に附属するものについては、この限りでない。」と例外を規定する。
太字の「建築物」は右の(補足)として除外の規定を有している。 最初はこれを流し読みし、本法文を繰り返して読解する過程でこれを確かに認識することが法文読解を続けるコツだ。
法文読解の勘所を再確認する。それは法文の1行目の第1分節の第1文字からキチンと真面目に読もうとしない。そうすると途中で集中力が欠乏して法文を読み通せない。先ず法文をザックリ読み通してその骨子を成す主語とその述語を押さえる。再び読む過程で、次に主語や述語に係る条件節や修飾節を読み取る。更に読むことで(補足)を認識する。纏めにそれら全てを含めた法文全体を仕上読みする。
そうする毎に「今読んだのって何だっけ?」と要点を想起することが、それを記憶に転じる為に極めて大切だ。そうして記憶した法文の要点が蓄積すればするほどに法文を読める速度が高まる。世に言う様々な速読法の中で、脳神経科学的にその実効性が認められる速読法は、速く読むから読んだ事が速く頭に入るのでない。頭に既知の情報があるから速く読める。効率的なつまみ読みで得た情報を自前の知識で補完して読み進め逐次に理解する手法だ。
そのように人脳の認知構造からして段階的に細分化して読解し既知を蓄える。それに対して「繰り返して法文って読むのはヤだ」と不満な向きがあるのは想定できる。だが、読書百遍意自ずから通ずるとは言わないが、難解な法文を一度だけ読んで分かるのならば受験生に限らず誰もが苦労はしない。人の認知機構からしてそうすることが合理的なので泣き言をいっても仕方ない。
最後に法文の主旨を表した部分を下で確認しておこう。ここまで読み進める向上心を有した貴方がこのイメージを足がかりに法文を段階的な詳細化を基盤に繰り返して法文読解に励まれることを願う次第だ。