勉強にも効果的なマインドマップの使い方

こんにちは、こんばんは
マインドマップ歴三十年を超える近藤です。

このページをご覧になっている訳は、きっとマインドマップにご興味を覚えられての事でしょう。マインドマップが本邦に東京図書刊「頭の良くなる本」で勉強法の一環として紹介されてから既に三十数年が経ちました。現在、書籍要約の動画などの分かりやすい解説手法やAIとの組みあわせた発想法として使われるからでしょう。

併せてその訳は、資格試験の勉強を効率的に行える手法として関心を寄せられたのでしょう。共著「マインドマップ資格試験勉強法」でもマインドマップの試験勉強に伴った使い方を有用な記憶法としても紹介しました。実はマインドマップが紀元前から伝わる記憶法にも基礎付いたノート術なのです。

マインドマップの使い方を勘違いした人の悲しさ

前述の事から、情報の整理、その理解や記憶に効果を期待できるノート法としてマインドマップを使い始めた人たちは今でも数多でしょう。マインドマップは、縦書きだろうが横書きであろうが直線的で退屈で堅苦しい従来のノート法と見た目も異なり多彩で曲線的で楽しげで記憶に有用だとされたからです。

ところがその結果はどうだったか。推奨されるカラフルで蔓草が枝を伸ばすように芸術的な書き方を「○○のルール」と推奨されるように忠実に採用したにも拘わらず、勉強に期待していた理解や記憶を向上させる効果を模試や答練の悲しい結果の様に得られなかった人たちが後を絶たなかったのです。

試験勉強、模試や答練に関係ない方でも、例えば仕事に役立ちそうだからと読み進めた書籍、その要点と思った箇所をマインドマップで逐次的に読書録としてまとめた結果、「昨日、読書録として書いたのに本のポイントを思い出せない」とお嘆きの声も登壇した講座でよく拝聴しました。

そうした見聞きした事例から、「マインドマップってタダのお絵かきジャね」「マインドマップって使えない」とした嘆きや怒りが誘発された事実にも頷けます。勿論、マインドマップは万能ではない。しかし、○○と鋏は使いようと言う様にマインドマップも使い方次第で無用にも有用にもなるのです。ではどう使えば良いのでしょうか。

結 論

その前に効果を得る為に大事なご注意から始めます。授業中に板書を逐次ノートにしたり、参考書を読みながら要点を同様に書き写したりすることは単なる転記作業です。理解や記憶に資する有用な脳の使い方にもなり得ない。そのように従来の行われてきたノート法は、勉強したつもりの頭を使わない脳死的な単純作業なのです。

では何をどうするのが効果的なマインドマップの使い方なのか。それは想起式の書き出し。と言うと「それって書き方じゃね」と違和感を覚えるでしょうか。しかし、書き方と記すと色使いや枝の広げ方など表面的なことに囚われる方が散見されたのでそうした囚われを解除できるように「使い方」とします。

またマインドマップは手段であって決して目的でない。例えばテキストの要点や過去問の解法をより良く理解し記憶する目的を叶える為に必要な言わば道具だから「使い方」なのです。例えばスマホは楽しいからと偏った使い方をすると脳力低下を来します。マインドマップは誤って使っても頭がよくならない。

役に立つマインドマップの使い方は勉強している対象を見聞きし終えた後に行う。その対象を想起しながらダンプカーが荷台から土砂を地面にドサッと降ろすように書き出す。すると覚えていたつもりの対象を時に書き出せない自分の記憶に関する認知は学びを動機づけるメタ認知なので実に貴重。

マインドマップだからできること

「ドサッと書き出すってムリ」な感覚を憶えるだろうか。確かに、品詞の並びや助詞の使い方に注意しながら書き出す内容を文にして想起した内容を書き出す通常のノート法を使うのならばそう感じるのは当然だ。しかし、想起した内容の書き出しをドサッと行うことはマインドマップで自然に行える。

従来のノート法とは異なるマインドマップは書き出す対象を象徴する単語(鍵語・キーワード)で原則的に表す。その鍵語を具体化したり説明したりする言葉をこれまた鍵語として分岐した枝に付記する。加えて、元の鍵語に伴う論証責任を果たす為に挙げるデータや根拠もまた鍵語として以下同文。

マインドマップで論証もできる

「えっ、論証ってムズイじゃ?」と困難さを予感しただろうか。なるほど論証責任を果たす等と聞くとそう感じるのも無理はない。皆まで言わずとも互いに察するのが本邦の習慣だから。しかしそれを果たす行為は「友だち全員が持っている。持っていなくて仲間はずれで悲しい」等と欲しいモノを買って貰おうとする小学生でもできる言説だ。

だから書き付けた主張を表す鍵語からそれを論証するに値する事実やデータ、それらを挙げた根拠を表す鍵語を書き連ねれば論証責任を見事に果たせる。つまり論理的な記述もマインドマップで可能だ。要するにマインドマップを書くときに囚われがちな色使いや枝振りよりもどんな鍵語を書くかが大事な訳だ。

「でも、具体化って急にできなそう!」と引いてしまっただろうか。そう、現代国語で具体化や抽象化を使った小難しい評論文を読まされてウンザリしただろうからね。でも、例えば抽象的に「車」と想起し始めた瞬間、様々な四輪車や同様な二輪車を息をするように想起できる様子からして実は簡単なのだ。

想起式でマインドマップを使うタイミング

では、どんな時に想起式でマインドマップを使うのか。その時を表現するならば「時間差的」である。時間差であるから2つのこれに時間を設けて使う。例えば勉強の対象を視聴し終えた直後にそれを行う。次に、翌日に想起式でマインドマップを書く。最低でも2回の想起式でマインドマップを書く。

苦手科目や覚え難い内容ならば、人の忘却に関して巷間に流布した忘却曲線が人がある対象を覚えてから1時間後にほぼ半分を忘れることからして、それらを学習した直後とそうした1時間後に2回の想起マインドマップを書くことが推奨できる。加えて、1日後に同様にすることも勿論お勧めできる。

時間差マインドマップの実施法

試験勉強で有用な復習、この有用な手段に採用できる時間差マインドマップの実施法を続く以下に確認されたい。
・2回目は1回目から1日後に
・3回目は2回目から1週間後に
・4回目は3回目から2週間後に
・5回目は4回目から1ヶ月後に

「ゲッ5回も」と驚かれただろうか。勿論例えば3回目を実施した結果、過去問の正答率や模試の得点が高止まりしているのならばそれを終わりとするのはタイパがよい。しかし、それらの数値が上下して不安定ならばその状況は理解や記憶の不完全さが結果となっているから4回以上の実施が得策だ。

5回目まで時間差マインドマップを実施したい対象を確認すると、まずそれは過去問を繰り返して解く勉強だ。それ解いてその正誤や解法を解答解説で読解した後に、誤答を正答に変える要点を転記するのでなくて飽くまでも想起しながらマインドマップで書く。想起できなかった要点はこれ再読した後に想起しながら同様にする。

読書録と時間差マインドマップ

「で、読書録はどうするのよ」とも有用な問だ。その答えも時間差マインドマップだ。例えば本をある項まで読んだとする。そこで読書をそこで止める。次に読んだ箇所を見ずしてつまりその要点を想起して読書録としてマインドマップを書き広げる。換言すればストップ&マッピイグを行う。

しかし「2つ3つの鍵語しか書けなかったら自分が馬鹿みたいで嫌だ」と想像されたかもしれない。仮にそうした状態に陥っても落ち込みはご不要。むしろそれは「そんな読み方をしてたんだ」と自らの読書という認知について学びを進化し得るメタ認知を獲得できた訳からして極めて言祝ぐべきだ。

加えてそれしか書けなかった自らの理解や記憶をメタ認知できた訳だから、読めていたつもりになっていた項を再読しよう。次に前述の時間差マインドマッグ、ストップ&マッピイグを再び実践しよう。読めていれば2つ3つの鍵語から連想される多数の鍵語を描き広げる知的快楽を享受できるからだ。

マインドマップ以外でも学びに大事なこと

ここまで読み進められたところで「それって別にマインドマップでなくてもやれば好くない」とお気づきであれば、それは誠にご賢察である。お察しのように読書や過去問の解法習得に於いて機能している行為は要するに学習した内容の想起だ。そのことを書くことで確実に行うことだからだ。

学んだはずのことを想起する行為は言うほど簡単ではない。人の有する忘却は脳の省エネ特性からしてある対象を学び終えた瞬間から大いに機能する。これに抗うように学んだ内容を想起することは脳機能的に負担を強いる。要するに脳トレだ。だからこそ理解や記憶を再強化することに有用だ。

よって想起式にマインドマップを書かなくても、想起式で学習ノートを作成されれば大いに勉強をそして読書を効果的に進めることが叶う。ただ、マインドマップは1つのことから連なる想起の得意な脳の特性を駆動力として書き進める書式であることから想起式の学びにより適するということです。