信念の変化パターン

このパターン(心理的な技法)ではこれが対象とするbelief(和訳は信念や観念)を説明する際に、これを紹介した項「イメージを変えると人生が変わる」でbeliefは制限的な文脈を考慮して観念とこれを記していましたが、このこうでこれを「信念」と表記しています。

本パターンは下記10段階を進みます。夫々の段階は次のように大きく3段階に属します。段階の多さから手間がかかるのはAの段階です。「良いNLPワークとは95%の情報収集と5%の介入である」とNLP共同創始者リチャード・バンドラー師匠が述べるようにここへの接し方が本パターから得られる効果に大きく影響します。上記のAは他に比べて多くの時間を要しますが、ここを丁寧に進めることはとても大事です。

  • A.情報収集と準備(5段階):「変えたい信念を見つける」~「持ちたい新しい信念を考える」
  • B.信念を変える過程(4段階):「影響評価をする」~「疑念を信念に変える」
  • C.信念を変えた結果の試験(1段階):「仕上の確認をする」

参考文献:Richard Bandler. Using Your Brain for a CHANGR(p108_111)

変えたい信念を見つける

あなたが持っている持つ幾つかの信念とはどのようなものでしょうか。その中からあなた自身を制限したり、あなたに望ましくない結果を持ってきたりする為に、あなた自身が持っていたくない信念を1つ想い浮かべましょう。例えば、「スリムな体型なんてなれっこない」などです。

その信念を心のスクリーンにどのように想い浮かべていますか。その様子は例示すると右のようかも知れません。もちろん右とは全く異なるかもかも知れません。変えたい信念の「内容」は同じようでも、これの「見え方」は人それぞれですから、安心して次に進みましょう。

疑念を見つける

あなたが疑っている何か(疑念)を思い浮かべてみましょう。それは本当かもしれないし、そうじゃないかも知れません。その疑わしいことつまり確信の持てないことだと思える(「UFOっている?!」のような)ことは、心の中でどのように現れているでしょうか。

ここでの「疑念」は「それって良い考えかどうか疑わしい」と言うような、つまり「それは良い考えじゃない」と貴方が信じている事でない。あることに関して「本当かもしれない」から「本当じゃないかもしれない」まで揺れ動く、貴方が解らないことです。

相違点を調べる

1の信念と2の疑念、その2つに関する視覚的な表象で夫々の表象を構成する感覚的な副要素の違いを見つけて列挙する為に対照比較して分析しましょう。

例えば以下のように対照分析をするとしやすくなります。夫々の要素を1から10までの尺度で表すとして信念と疑念は数値で夫々に幾つになるか。それを調べて[ ]の中に書き込んでおくと後の段階を進める時に便利です。

感覚的な副要素を試す

相違点を調べた信念と疑念、夫々を表していた視覚的な副要素の内、どれが信念を疑念に変えるのに最も効果的であるのかを見つけましょう。信念の項目に書き入れた数値を疑念の項目に書き入れた数値を参考にながら変化させてみます。

例えば、あなたは心の中で想い浮かべている映像の大きさや明るさ等の要素を自在に変えられるをスライド式スイッチが並んだ調整機器(制作者たちが使いスタジオで見かける)を目の前にしていると想像してみましょう。それから、例えば以下のように視覚的な副要素を変えてみましょう。(注:挿絵の左右は挿絵の人物からして逆の右左になりますが、解り安さを考慮して読者の側からみた左右にして例示しています)

「信念の大きさ10を1にすると、それってどんな感じかな?」
「信念の位置を正面から右上に動かすと、以下同文」
「信念の色合いだけを多色から単色的にすると、以下同文」
「信念の背景だけをモノトーンにすると、以下同文」
「信念とこの背景を合わせた全体をモノトーンにすると、以下同文」

スライド式スイッチを動かして画像の調整をするような感じで、一つずつの要素を変化させて覚える感覚で試して調べます。そうした時に信念を疑念に近く感じたら、その変化に伴う数値は後で使えるように記録しておきます。そして変化させた数値つまり感覚的な副要素の大きさを例えば小さく「1」としたのなら元のように大きく「10」と必ず戻します。以上の様に信念の感覚的な副様相の全てを試験して、その結果を後で使えるようにメモしておきます。

持ちたい新しい信念を考える

最初にあなたが見つけた今持っていて気に入らない信念の代わりに、持ちたい信念はどんなものでしょうか。この信念は否定でなく肯定的な言葉で言い表せるようにします。例えば、「私は肥る習慣を止められない」と否定形で言うより、例えば「私はスリム体型になれる運動習慣を維持できる」と肯定形で言うようにします。

また、あなたの持ちたい新しい信念を、望んでいる目標を既に達成した例えば「私はスリムな体型になっている」ことでなく、目標の達成に資する能力や過程の観点から考えるようにしましょう。

例えば、「私は『体脂肪率を減らせるように運動を続けることができる』と信じている」は有用な信念です。「私の体脂肪率は20%です」とする信念はあまり有用でなく、こう信じる内容は私たちが直に制御できないこと。何かを行うことができたことによる間接的な結果ですから、1つの単なる妄想です。私たちは、妄想するのでなく新しい信念によって新しい能力を動員できるようになりたいのです。

影響評価をする

何れの新しい事(例えば新しい信念を持つこと)は、心の環境に何らかの影響を与えます。時に問題を引き起こすかも知れません。どのような事が起きそうなのかを例えば次のように自問して確認します。

「もし私が新しい信念を持ったらどのような問題を起こすだろうか」
「この新しい信念は仕事やプライベートにどう影響するかな」

問題として起こりそうな状況を思いつけたら、それを考慮して新しい信念を修正します。例えば「運動をし始めたら、プライベートが忙しくて辛いかも」と思ったら、「スマホの時間を節約して運動の時間を作れるので、スリムな体型を目指して運動を続けられる」と言うように持ちたい信念を修正します。

信念を疑念に変える

最初の変えたかった信念の内容をそのままにしながら、「相違点を調べる」で気づいた最も強力に変化を覚えた感覚的な副要素を1つ以上を使って不要な持ちたくない信念の見え方を疑惑のそれに変えます。

例えば、信念と疑念との最も強力だった感覚的な副要素の違いが、「カラフルとモノトーン」「距離感が近いと遠い(つまり見え方が小さい)」「位置が正面と右上」「額縁があるとない」だとしたら、変えたい信念の見え方を「カラフルで距離感が近く、正面で縁有り」から「モノトーンで距離感が遠く、右上で縁なし」になるようにしましょう。

信念の内容を変える

変えたかった信念の感覚的な副要素の中で、他の要素(例えば鮮明な見え方)を使って、古い不要な信念から新しい望ましい信念に「中身」だけを変えます。またはあなたがすでにやっていること使ったり次のようにアナログ的な変化を使ったりする方法です。

例えば古い内容(疑念的な見え方)の信念イメージをそれが何なのか解らなくなるほど遠くに行かせて、新しい内容(疑念的な見え方で内容だけを変えた)の信念イメージに入れ替えて近くに来させることもできるでしょう。または古い信念の絵が暗くなったり明るくなったり、ぼんやりしたり鮮明になったり、そうさせるうちに古い信念から新しい信念に内容を変えることもできます。

疑念を信念に変える

信念を表す新しい内容を維持したまま、「信念を疑念にする」段階で使った感覚的な副要素を逆に変えることで、疑念(望ましい信念の内容を持ったこれ)の見え方を信念(持ちたいこれ)の見え方に変えます。

例えば、「カラフルからモノトーン、枠ありから枠なし、近くから遠く、正面から右上」に視覚の副要素を転換することで変えたかった信念を疑念に変えたのだったら、逆に今度は「モノトーンからカラフル、枠なしから枠あり、遠くから近く、右上から正面」に戻して、新しい(望ましい信念を表す)内容を疑念から信念(の見え方)に変えます。

これを行う過程で、あなたが覚える「抵抗」や「困難」に注意しましょう。もしそれらを覚えるのならば、新しい信念の表現が不十分だったり否定的であったりして、自身のどこかがそれに反対しているのかもかも知れません。先のように反対する部分に出会ったら、それを尊重する為に情報を集め、「持ちたい新しい信念を考える」段階に戻って、その信念を創りなおしましょう。そうした後に進む次の段階からこの段階までを再び行います。

仕上の確認をする

この方法は幾つかがあります。例えば「この新しい信念についてどう思うかな」と自問することができます。すると、「『痩せられるように運動の習慣を維持できる』って自信を持てる」と思えたり、「『痩せられるように運動の習慣を維持できる』ってなれそう」と確信をおぼえたりするでしょう。

他の方法としては感覚的の副要素に関して情報を集めて調べることもできます。新しい(望ましい)信念がその場所(古い変えたかった信念のあった所)にある時、古い(変えたかった)信念の感覚的な副要素は疑念を表す感覚的な副要素に変わるはずです。

古い信念が今どのように表されているかを調べれば、あなたが前に調べた疑念の感覚的な副要素と比べることができます。または、あなたが何か他の強く信じていない疑わしい事を想い浮かべてみると、その事を表す感覚的な副要素と比較することもできます。

そうして、古い信念(変えたかった望ましくないこれ)が疑念つまり疑わしいことの感覚的な副要素を持つようになった結果を確認できる。つまり否定的な影響力を弱めたことも感じられることでしょう。

以上の要点をまとめてYouTubeで限定公開 →→→ 「信念の変化パターン