貴方も法文を読める段階的な細分化法

「マインドマップ資格試験勉強法」改
「NLP資格試験勉強法」公式ブログ版2024年10月18日号
本誌はNLPの観点から合格を目指せる勉強法を提案します。

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NLPはその人たちに共通する型・パターンにも注目する。
本誌で合格を目指す貴方にその型を提案し合格を支援します。

無意識の有能を目指す勉強法を実践してどうでしたか?

こんにちは
こんばんはお元気ですか。
NLP資格試験コーチの近藤です。

前号は「意識の有能と無意識の有能を目指す勉強法」をご案内。それってどうでしたか。想像するに「フン、結局さ、繰り返して過去問を解けジャね」「繰り替え過去問解いても意識の有能にすらなれないよ」「そもそも法文って読むのが激ムズ」だったでしょう。そのてのお悩みは繰り返して拝聴してきましたから。

法規を制する者は建築士試験を制する?!

国家試験、例えば建築士のそれは、建築基準法と建築基準法施行令を中核とした法的な運用能力を、学科試験の受験科目で「法規」として受験生に問うてくる。士業は法の下で行う行為だから当然である。よって法規の配点は建物の安全を左右する構造と同じく他の受験科目より高配点だ。法規を制する者は受験を制すると言われる。

一方、「法規って無理ゲー」と受験生に敬遠されがちだ。しかし、法規を制するに越したことはない。一級建築士の合格基準は各受験科目の得点が過半を超え、各受験科目の総点が90点前後(満点は125点)だが、あらかじめ合格人数を予定した相対評価で合否を決める。総点の高い受験生ほど合格しやすいからだ。

勿論、社労士の様に、各受験科目の得点とその総点との合格基準を満たせば合格とする試験もある。しかし、労基法や国民年金法など様々にある法的な運用能力が試験で問われる事実は厳然と存在する。よって、国家試験で合格を目指すのであれば、法的な運用能力を基礎付ける法文の読解能力を強化することは必須だ。

AIブームにうかれた者の行く末

勿論、「士業に法的な能力って関係ナイ」「ギリで法律関係の得点を取れば良くネ」と自信満々な向きも散見される。「だってAIって米国の司法試験に合格したんジャね」と。最新AIの法文解析の能力は米国における司法情報のデジタル化も手伝って大きく向上して、受験者の上位10%に入る成績を出せるからだ。

しかし、うちの国では、司法試験にAIが同様の能力を見せた事実を寡聞に聞かない。並びに弁護士がAIを法的な情報検索に使った結果として「AIは弁護士業務に使えない」と嘆く動画も目に入る。AIは判例検索をさせると、ありもしない判例をまことしやかに提示する。幻覚、虚偽の言説を無自覚にやってのける。

AIが秀逸であっても、これが学習すべき司法情報のデジタル化は本邦で遅れている。また、e-GOV法令検索で例えば建築基準法の様にデジタル化されていても、AIの学習が最新の法令に対応していない。この状況を解消する為のデータベースがあっても、日本語法文の難解さからAIは法文を正しく読めない。

実は、建築基準法の法文を一目瞭然にするプロンプトを私は構築中だ。勿論、法文の読解法をChatGPTが理解できるテータ構造で例示する。しかし、ChatGPTは例示した以外の法文の読解ができない。僅かな例示で学習することを期待するが、幻覚をもって誤読する。そもそも日本語の難解な法文を読解する学習をしていない様子だ。「人力で法文読解した方が早いジャね」と情けない調子である。

AIブームの現状と対策

では、「ギリで法律・・・」として運良く合格した者はどうなるだろうか。これは以前にも述べた。第1に法的な能力が進化したAIに淘汰される。第2にそれはなくても法的な能力の高さからAIの限界さえ逆に活用できる人材に席をとって替われられる。何れにしても、その者の行く末には暗雲が垂れ込めるだろう。

「早い話、法規の勉強をしろね!」とは誠にご賢察である。法規に精通していれば、少なくともAIの巧みな虚言に対処できる。「最新のAIだから大丈夫!」と発言して「馬○ジャね」と法規通の同僚に非難されずに済む。一方「ったって、ムズい法文ってどう読めば良いの?」とお嘆きでもあろう。

一級建築士として法規と長年付き合ってきた経験からそのお悩みは決して他人事として聞き流せない。ではどうすれば良いのか?今回は貴方もすぐにできる法文の読解法をご案内したい。

結 論

その読解法とは段階的な細分化法だ。これは、例えば麻婆豆腐の豆腐を切るとして、豆腐を細かいサイコロに切るとしても一気にそうできない。そうするのでなくて、豆腐はまず縦に切り、次に横に切り、最後に包丁の刃を水平にして上から下へと切る。その様にステップバイステップで豆腐を細かく切る様に似る。

古来「分割して統治せよ」としてローマ時代から採用された有用な戦略でもある。又は「大鮪の一尾をどうやって食べる? 一口サイズに小分けして食べるのさ!」と寒い冗談として自己啓発の界隈で知られている。何れにしても理にかなった手法である。

段階的な細分化法、その1

法文で言えば、頭から一文字ずつこれを読まない。第一に、法文を俯瞰する。法文の述語(どうする・どうされる)を見つける。述語には必ず主語があるから、述語から遡って次に主語(誰が・何が)を見つける。こうして「誰はどうする」や「何はどうされる」と法文が述べるこの骨格を把握する。

「第六条 建築主は、第一号から第三号までに掲げる建築物を建築しようとする場合(増築・・・を含む。)、これらの建築物の大規模の修繕若しくは大規模の模様替をしようとする場合又は第四号に掲げる建築物を建築しようとする場合においては、当該工事に着手する前に、その計画が建築基準関係規定(この法律並びに・・・以下同じ。)に適合するものであることについて、確認の申請書を提出して建築主事又は建築副主事(以下・・・という。)の確認(建築副主事・・・おいて同じ。)を受け、確認済証の交付を受けなければならない。

ここで「知っ得」だ。改めて認知すると目から鱗が落ちる事実がある。それは建築基準法で主語の大方が「○○○は、」と「は、」目印になる記述を伴うことだ。勿論、下の様に「、」を伴わず「○○○は」とする場合もある。しかし、こうした事実を再認識しておくだけで、主語を見つけ安くなる。

「第百二十二条 建築物の五階以上の階(主要構造部が・・・である場合を除く。)又は地下二階以下の階(主要構造部が・・・ある場合を除く。)に通ずる直通階段は次条の規定による避難階段又は特別避難階段とし、建築物の十五階以上の階又は地下三階以下の階に通ずる直通階段は同条第三項の規定による特別避難階段としなければならない。

段階的な細分化法、その2

第二に、主語と述語とには夫々に係る修飾節つまり説明や条件の記述がある。主述と修飾節を区分けする。例えば「又は」の接続詞に着目して、その修飾節も細分化する。「第百二十二条 建築物の五階以上の階(主要構造部が・・・である場合を除く。)又は地下二階以下の階(主要構造部が・・・ある場合を除く。)に通ずる直通階段は」なら「建築物の五階以上の階(主要構造部が・・・である場合を除く。)」と「又は地下二階以下の階(主要構造部が・・・ある場合を除く。)に通ずる」とする。リストにすると見えやすい。

  • 修飾節
    • 建築物の五階以上の階(主要構造部が・・・ある場合を除く。)
    • 又は地下二階以下の階(主要構造部が・・・である場合を除く。)に通ずる

段階的な細分化法、その3

第三に、上で細分化した修飾節を構成する修飾部に含まれる大方はある語彙を説明する(補足する節)を有する。その記述が長いものは第二と同様にして細分化する。例えば、下の法文(令第百二十二条)の一部には次のような(補足節)がある。「これが補足なの、ムズッ」と感じるが、これも細分化するれば読めてくる。

「・・・階(主要構造部が準耐火構造である建築物又は主要構造部が不燃材料で造られている建築物で五階以上の階の床面積の合計が百平方メートル以下である場合を除く。又は地下二階以下の階(主要構造部が準耐火構造である建築物又は主要構造部が不燃材料で造られている建築物で地下二階以下の階の床面積の合計が百平方メートル以下である場合を除く。)に・・・」

上のように(補足節)も細分化してみる。すると述語や主語を見つけやすい。複雑怪奇に続くような補足節の骨格をサクッと把握できる。文頭から一文字づつ読み進めるよりも、段階的な詳細化で認知を行う脳の機構からして、格段に理解を深めやすい。

その纏めとして、前回に例示したような構造化、例えば右図のようなリスト化を行ってみよう。激ムズに思えた法文がストンと腹落ちするだろう。但し、「直通階段」に関わる第百二十条の規定を知っておく。「それって何?」と不知の知を自覚したらば、直ちにそれを調べる。ご案内の段階的な詳細法をもって、その法文を読めば直通階段に関しても有用な知見を得ることができる。また、法第二条の規定する「主要構造部」や「準耐火構造」に関しても同様だ。

その纏めとして、前回に例示したような構造化、例えば右図のようなリスト化を行ってみよう。激ムズに思えた法文がストンと腹落ちするだろう。但し、これを自己目的化してはいけない。

但し、「直通階段」や「主要構造部」や「準耐火構造」などに少しでも「?」を覚えたら、これらに関連する法文を前回にご案内の通りに深掘りすることが重要であることは思いだしておきたい。

以上、段階的な細分化法とした法文の読解法をご案内した。どうお感じだろうか。例えば「段階的なそれをしたって、ムズイのは変わんないよ」とご不満の向きは想像するに難くない。調べる用語や関連法文が減るわけでないからね。しかし、ムズさの大きさは確かに変わる。法文全体から調べる用語や同様の関連法文へと不明の単位が転じるからだ。

その遷移は不知の知を明確にする。人の知的向上心を刺激する。勿論、その刺激にどう答えるか、それは各受験生の合格を目指す心意気次第でもある。「ムズイままで法規はギリの合格」とするのか「得意になった法規の高得点で余裕の合格」とするのか。これもまた人生のおける重要な選択の1つである。

貴方により良い選択がありますように。
GOOD LUCK!