こんにちは、こんばんは
マインドマップ歴三十年超えの近藤です。
一級建築士の受験で言われることが「法規を制する者は受験を制する」だ。学科試験の法規は構造と同様に他の科目よりも配点が多い。法規を苦手にする受験生も多い。相対評価が前提の合格基準は各受験科目で過半の得点と総点で90点前後の得点だから、その言葉は当を得ている。実技試験、設計製図で法規に正しく基礎付いた合格解答を作図することを考えても上記は誠に至言である。
法規を制することはどうすればできるのか
だが法規を制することは決して容易くない。その理由はご案内の通り法文が恣意的な解釈を極力抑制しようと漏れなく事細かに記述される為だ。法文を読解することに不慣れな者にとって極めて難解だ。しかし、その難解さを言い分けにして法文の読解を避ける様では、高得点ができる様に法規を制することが困難である。受験を制して合格を目指せるようになれない。
そうした状況を打開する一助として、法規の設問で頻出法文の1つである建築基準法第六条の全体像をマインドマップ化した図解で法文の骨子やイメージを捉えてみてみよう。この法文は「建築主は、第一号から第三号までに掲げる建築物を建築しようとする場合(増築しようとする場合においては、・・・」と始まる。
難解な法文を読解するコツとは
法文を読み進める為のコツは、人脳が法文を最初から細部を理解せずに、大筋から細部へと徐々に理解することから、法文の骨格である「建築主は、確認申請をして、建築主事又は(以下「建築主事等」という。)の確認を受け、確認済証の交付を受けなければならない。ー(中略)ー同様とする。」を最初に把握すること。法文の骨子と日本語の語法から、法文の現在位置が解って読み進め易くなるからだ。
「場合」に続く(補足)は「増築しようとする場合においては、建築物が増築後において第一号から第三号までに掲げる規模のものとなる場合を含む。」とあるが「それなー」と最初は読み流そう。その訳は後述する。
続いて「これらの建築物の大規模の修繕若しくは大規模の模様替をしようとする場合又は第四号に掲げる建築物を建築しようとする場合においては、当該工事に着手する前に、」とあっても、最初は同様にしよう。
ここから長い(補足)を従えた文面が続く。理路を把持できるように本筋をまず押さえると右がそれだ。
「建築基準関係規定(この法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定(以下「建築基準法令の規定」という。)その他建築物の敷地、構造又は建築設備に関する法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定で政令で定めるものをいう。以下同じ。)に」と建築基準関係規定に補足が長くされる。ここも前述に同じ。
そして「確認の申請書を提出して建築主事又は建築副主事(以下「建築主事等」という。)の確認(建築副主事の確認にあつては、大規模建築物以外の建築物に係るものに限る。以下この項において同じ。)を受け、確認済証の交付を受けなければならない。」と主語の述語で法文のキモに到達した。
「確認」の後に続く括弧書きの補足が右の様にしてある。確認副主事の確認する範囲を「大規模建築以外の建築物」と限定する。ここまでで本法文の前半が済んだ。ここも「なるほど」と最初は一目すれば良い。
法文の読み方は最初ザックリ「それで良いのだ」
ここまで進んで来たがどうだろうか。勿論、「キチンと読まなきゃ駄目でしょ」のご懸念があるだろう。しかし、「それで良いのだ」とある漫画の台詞で代弁しておこう。駄目そうな読み方であっても、例えば「左の橙色の枠内に増築や大規模な修繕や模様換えがあったな」と想起できれば、そうできる法文の理解があって想起できた訳だから、キチンと読んでも想起できないよりも、学習効果があったと言えるからだ。但し後述することが大事だ。
ここから計画変更の手続きが「当該確認を受けた建築物の計画の変更(国土交通省令で定める軽微な変更を除く。)をして、」と始まる。「第一号から第三号までに掲げる建築物を建築しようとする場合(増築しようとする場合においては、建築物が増築後において第一号から第三号までに掲げる規模のものとなる場合を含む。)」と条件が展開される。
次いで条件の追加が「これらの建築物の大規模の修繕若しくは大規模の模様替をしようとする場合又は第四号に掲げる建築物を建築しようとする場合も、」と続くが、図解左側の繰り返しである。
ここで「同様とする。」とこの法文が終わるが、勿論、各号の記述が続くのを省略したので、各人でそれを確認されたい。
緑の記述は法文にないが、「同様とする」の具体的な内容を再確認して想起しやすくする為に付記した。こうしたひと手間が意外と想起の助けになる。覚えたいことを図式化する時の参考になれば幸いである。
法規を制する為に本当にすべき行為とは
以上の法第六条は、マインドマップ化した図解で読み進めた後で皆さんにどのような印象を与えただろうか。例えば「次に読むときはサクサク読めそう」であれば幸いである。法文は「一度で理解できれば誰も苦労はしない」難物だ。過去問を繰り返し解くと同時に同様に読解するものだから。
そうしていなければ、法規の試験で持ち込みを許可された法令集を問題の正答を目指して検索しようとしても、短時間で妥当な法文やその箇所を読み当てることができない。対して、法文の骨格や心像を持ちながら前述のように法文に慣れ親しんでいれば試験時間ないで多くの正答を得やすい。
そのような訳から一級建築士の受験生時代、特に合格を果たせた時期、私は鉛筆書きのマインドマップで法文を図解しそれを繰り返して読み、大いに法文に慣れ親しんだ。こうして法文を多彩に図解し直してみると「なるほど漏れなく記述してあるな」と大いに得心できるからだ。
合格するためにすべき勉強とは何か
他方、ご覧の様に凝ったマインドマップ化した法文の図解を個々人が創ることを私は決してお勧めしない。その図解は受験生にとって手段であって目的でない。受験生が目的とすべき事は、手段としてその図解を足がかりに法文の迅速な検索が迅速にできて、法規の過去問に関する解法を覚えることだから。
どうしてもご自身が法文の図解をすることを解法体得の一助としたいのであれば、手間いらずの例えば鉛筆書きの図解をして法文の骨格を把握、想起できれば事足りるだろう。最後に補足記述を除いた本法文の骨格とそれに関わる条件節を下で復習して終わりにしよう。