マインドマップ化した耐火建築物

こんにちは、こんばんは
マインドマップ歴三十年超えの近藤です。

今回のお題は耐火建築物である。建築基準法第二条九の二で規定される建築基準法で頻出である用語の定義その1つ。皆さんは用語の定義をどのようにお考えであろうか。例えば「そんな簡単なモノより難しい法文の読解が大事でしょ」と言うのはもっともなご意見だ。資格試験の講座やコーチングでしばしば拝聴してきた。

簡単そうな用語の定義は大切

しかし、そう言うことを述べる向きによくあることは、用語の定義に関連する頻出問題で失点する状況だ。これは、取るべき得点を失点してまたは取れる得点を同様にして、科目の合格基準や総点のそれを満たせずに不合格を招く事態を意味する。出題者としても確かな基本を有する者を有資格者にする為の試金石とできる。

「用語の定義って簡単」などとスルーすべきではない。その様にスルーしてしまう受験生は上記のようにして合格にスルーされてしまう。「えっ、何が言いたいのよ」とは実に良い質問であるからズバリお答えしよう。それは「用語の定義を確りと理解せよ」である。これができて法規を制する最初の一歩が始まるのだから。

法文読解の基礎は用語の理解

そもそも法文は定義された用語を主語や述語、条件節に用いて建築に関わる要件を事細かにに規定する。その用語を正しく理解することはこれを使って記述される法文を理解する事に繋がる。英文読解が英文法の知識に加えて英単語の意味を知って初めてこれを正しく行える事に似て、法文読解の基礎は用語の理解がこの一翼を担う。

法文読解はまず骨子の把握から始めよ

お説教から本題に戻る。法文の全体像は上の通り。法文読解の手始めしては法文の骨格を掴むことが肝要であることはご案内の通りだ。耐火建築物を規定する本法文は「耐火建築物 次の基準に適合する建築物をいう。」を骨子として、「イ その主要構造ー後略ー」と「ロ その外壁の開口部でー後略ー」と具体的に展開する。

まず「イ その主要構造部のうち、防火上及び避難上支障がないものとして政令で定める部分以外の部分(以下「特定主要構造部」という。)が、(1)又は(2)のいずれかに該当すること。」は「いずれかに」ご用心。

「(1) 耐火構造であること。
 (2) 次に掲げる性能(外壁以外の特定主要構造部にあつては、(i)に掲げる性能に限る。)に関して政令で定める技術的基準に適合するものであること。」とあっても、上記の「いずれか」は下に続くからだ。

「(i) 当該建築物の構造、建築設備及び用途に応じて屋内において発生が予測される火災による火熱に当該火災が終了するまで耐えること。
(ii) 当該建築物の周囲において発生する通常の火災による火熱に当該火災が終了するまで耐えること。」と2つに分かれる。

法文の迷い子にならない為に

ここまでが耐火建築物を定義した前半部分の「イ」である。見事に構造化して記述されている。最初にご覧のように階層化された記述が続く。1つの視点から言えば明解だが、法文に不慣れな視点からすれば迷い易いので、法文の骨子、大筋を把持しながら理路を辿ろう。

さて後半は「ロ その外壁の開口部で延焼のおそれのある部分に、防火戸その他の政令で定める防火設備ー後略ー」で長い(補足)を従える。

それが「防火設備(その構造が遮炎性能(通常の火災時における火炎を有効に遮るために防火設備に必要とされる性能をいう。第二十七条第一項において同じ。)に関して政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものに限る。)」だ。

法文読解をマスターするには

防火設備に関する補足はこの中に(補足)を含み構造化して記述される。実に分かり難いが、これが法文であるから仕方ない。「法文って嫌だ」と泣き言をいっても法規を制するに何ら資することがないので、「それなー」と最初は涼しく流し読みする。過去問でこの部分に関わる設問やその解答解説に遭遇したら必ず読む。

先の補足だけのことでなく、何かを読んだらそれで終わりにせずに読んだ事の要点を想起する。これができなければできる様に法文や参考書を再読する。そしてまたその要点を想起する。読解と想起つまり読解のテストを繰り返す。この往復が法文読解を体得する為にも得策だ。

最後に(補足)を除いた耐火建築物の定義に関わる大筋を下で復習しておこう。過去問で本法文に再会した際、下のイメージを想起すれば法文の読解を繰り返して行うことは難しくないだろう。いずれにしても法規を制される努力に健闘を祈る。