マインドマップ化した耐火建築物にすべき特殊建築物

こんにちは、こんばんは
マインドマップ歴三十年超えの近藤です。

今回のお題は「耐火建築物にしなければならない特殊建築物」。左記の長い標題を冠する建築基準法第二十七条である。この法文は法規の設問で頻出事項として手を変え品を変えて出題される。防火地域や準防火地域で耐火建築物にすべき建築物を規定した法第六十一条と併せて法規を制するにあたり1つの要衝である。

加えてこの法文第二十七条は例えば防火区画や避難階段の法文にも関わる。よって上記のように多彩に形をかえて法規の設問に登場する。「で、何が言いたいのよ」とお考えであるならば、「頻出の法文だから面倒臭がらずに暗唱できるくらいになるまで繰り返して想起してね」とお答えしよう。想起に関しては後述する。

ではお題に戻ろう。読解に先立って押さえたい本法文の骨子は「特殊建築物は、その特定主要構造部を、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものとし、延焼するおそれがあるものとして政令で定めるものに、防火戸その他の政令で定める防火設備を設けなければならない。」である。

「特殊建築物は」の後に「その特定主要構造部を当該特殊建築物に存する者の全てが当該特殊建築物から地上までの避難を終了するまでの間通常の火災による建築物の倒壊及び延焼を防止するために」と続くが注目したい事項がある。

右はこの法文ないの記述である。ここまで読み進めた方の一助として、法第二条九の二から私が抜粋した文言である。法文に不慣れなうちは右の太字で注意喚起をした用語を見過ごしがちになりやすい。

ご用心。それが「特定主要構造部」である。上の図解でご確認になれるように法第二条九の二でサラリと定義済み。この用語は耐火建築物の根幹である。これを理解することが後々の法文読解を円滑にする為に重要。「『主要構造部』-『政令で定める部分』=『特定主要構造部』」だから基本的に主要構造部と同じ。

だが「そうなんだ~」で済まさない。『政令で定める部分』を規定した令第百八条の三も後に読解されることが、法規を制する為に必要な知見を養う為に有用である。確かに「それって面倒」であろう。しかし法規を制した人はその面倒を厭わず地道にコツコツと法文を読解し続けた事実をここで大書きしておく。

法文に戻る。先の続きは「特定主要構造部に必要とされる性能に関して政令で定める技術的基準に適合するもので、」となり、これに次の述部「国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものとし、」と述部が続き法文の前半が終わった。

後半の骨子は「かつ、その外壁の開口部であつて建築物の他の部分から当該開口部へ延焼するおそれがあるものとして政令で定めるものに、防火戸その他の政令で定める防火設備を設けなければならない。」と「防火設備」の(補足)が長々しく記されてるが迷い込まないように骨子だけをサクッと読み下しておこう。

防火設備の補足は「(その構造が遮炎性能に関して政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものに限る。)」だった。

補足は最初から一字一句まで読み込めるに越したことはない。そうしていると法文の小難しさに根負けする。法規を制するどころか法規に制されて勉強が嫌になりかねない。そうなる悪路を回避できるように読最初は「それなー」とサックリ読み進もう。繰り返し読解して法文に慣れ、解答解説に出てきたら(補足)を読み込むのが賢明だ。

そうする読解法は「段階的な詳細法」としてご案内の通りだ。その方法は人脳が大筋から段階的に細部を理解する事を常とする機能に由来する。巧みな話者が聴衆の理解を勝ち取る為に常用する戦略でもある。勿論、法文を読解する時も、受験参考書を同様にする場合も極めて有用である。

では、最後にこの法文から補足を除いた大筋を下で確認して終わりにしよう。法規の過去問を解いた後、解答解説が本法文に言及したならば、先に確認された本法文の大筋を想起しながら法文を読解することをお勧めしておく。きっと、下のような絵図が心にあれば、これがない場合よりも円滑な読解ができるはずだから。

そう言えば、冒頭で決して「読み返してね」と言わずに「繰り返して想起してね」」と申し上げた。近年、海外の学習に関する研究は、記憶に関して前者は効果を期待できないが、後者が記憶に効果的であると教えるからだ。法文でも受験参考書でもただ繰り返して読んでも記憶に定着しないが、それらの読後に繰り返して想起することで記憶できる。