不合格を招く解ったつもりの傾向と対策法

「マインドマップ資格試験勉強法」改
「NLP資格試験勉強法」公式ブログ版2026年1月23日号
本誌はNLPの観点から合格を目指せる勉強法を提案します。

合格者は自らがこれ自身になれる勉強を行えた。
NLPはその人たちに共通する思考と行動にも注目する。
本誌で合格を目指す貴方にその神髄を提案して合格を支援します。

試験勉強の本質を極める勉強はどうしましたか

こんにちは近藤哲生です。前号は試験勉強の本質を極め方の御案内。ほの方法は資格試験の対策も含めた試験勉強に共通する本質的な手法。これを端的に言えばテスト中心の勉強。具体的にはテストで誤答した問題を正答に転じるように勉強する学習法。「ゲッ、テストが中心って大変・・・」とは誠にご賢察である。

勿論テストや例題を解いて誤答した結果を目視することは、「オレ・アタシってあんまし解ってないんだ」と自覚するので時に気分も落ち込んだり胸が苦しくなったりして実にストレスフル。だが、そのストレスはこれを解消しよう機能して学習効果を高める脳神経機構からして実に有用である事実は強調するに値する。

脳は不快を避け快感を好む臓器だ。よって誤答がもたらす不快を避ける為にこれに資する情報、例えば参考書や法令集に存在する有用な記述を必死で吸収する。その後に、誤答した問題・テストを解くと正答でき確率が高まる。但し、その吸収のさせ方を間違うと誤答を繰りかえす。再度ストレス沼に陥る。勉強が嫌になる。

試験勉強の仕上時期によくある受験生の痛い実態

例えば、ある職場の総務に勤務する社労士の取得を目指して勉強中の受験生。職場の忙しさを考慮して効果的な試験勉強ができるよう夜間に某有名資格試験予備校に通学中だ。有名予備校の講義だけあって聴講した後、彼女は「なるほどよく解るわ」と満足した。だが最初の模試の結果は合格水準を満たせずに胃が痛くなる結果。

有名な建築設計事務所に努めて将来の建築家として一級建築士の取得を目指す意匠を担当する受験生。仕事柄、法規や計画は得意でそれなりに構造も知る感覚から法令集や受験参考書を読みこむ毎日の独学で彼は今夏の合格を目指してきた。ところが、過去問を解き始めて「オレって全然解ってないジャン」と誤答の多さに唖然。

それもそのはず。有名予備校の講義を聴講する勉強によく解る感を覚えてきた。法令集や受験参考書を繰り返し読みこむ毎日の独学に自信を覚えきた。だがその効果を白日の下にさらすかのような模試や過去問の結果は前述の通りに余りにも悲惨で無残。実はこれがよくある解ったつもり(流暢性の錯覚)と言う受験生の実態だ。

勿論、その解ったつもりはこれを放置するとこの結果は明らか。例えば今夏の本試験でその会場を後にする時の気分は最悪。合否の発表を目視するまでもなく最悪の結果が予想できる。だとするならば、その危険性はどのようにしたら解消できるのか。今回はよくある解ったつもり(流暢性の錯覚)の解消法を再確認する。

解ったつもり(流暢性の錯覚)とは

まず前提の確認から始める。「流暢性の錯覚」とは、情報の処理(読む、聞くなど)が立て板に水的に行われる行為を「その内容を習得、記憶した」と受験生が誤認してしまう現象だ。例えばテキストを読んだり予備校の講義を聞いたりする最中に「なるほどわかった」と受験生が感じる様子。ではこれの何が問題なのか。

対して、過去問を解いたり試験本番で何も見ずに設問を解いたりして正答を目指す「想起(リコール)」は前述の事例が示すように全く別物であるからだ。参考書の再読や講義の聴講は勉強をしている感を大いに覚える勉強法であり、従来の勉強法として常識的な方法だから「勉強できてる」と多くの学習者がこの2つを混同する。

再確認する。流暢性の錯覚は次の勉強法で頻繁に生じる。
・テキストや過去のノートを何度も読み返す再読
・重要だと思う箇所に色を塗ったり付箋をはったりする勉強
・予備校の講義動画を見たり音声教材を通勤中に聞き流したりする
そうしてしまう訳は従来の学習法として疑いもせずに繰りかえし行ってきたからだ。

解ったつもり(流暢性の錯覚)の打破・解消法

解ったつもりの解消法は学習に「望ましい困難(Desirable Difficulties)」を取り入れる必要がある。これは短期的に視れば勉強が難しく感じられる。誤答も増えるかもしれない。即ちチョットめげる勉強に取り組むことだ。気分的に嫌になりそうな勉強法だが長期的には確実な定着つまり合格基準の得点をもたらす嬉しい手法だ。

まずやってはいけない勉強法を再確認する。
・参考書や法令集の読書百遍的な再読
・要点に下線を引きマーキングするだけの方法
・視聴覚教材を繰りかえし見聞きして満足する勉強
特に最後は○回そうすれば潜在意識に入る言うが無根拠な方法である。

対してその受験生として望ましい手法は検索練習(Retrieval Practice)への転換と分散学習(Spaced Practice)による忘却の活用だ。以上2つを合格を目指せる勉強法の双璧セットとしてお勧めできる。但し新規な手法でなく本誌の読者に既にご案内済み。だがなかなか耳に入らない様なのでクドクドと今回は前者から再確認する。

解ったつもりを検索練習に転換する

これは能動的な想起・アクティブリコールだ。その典型が暗唱だ。参考書等を多数の再読をしない。1、2度読んだ記憶から暗唱をしてその要点を頭から絞り出す方法だ。確かに「それだけで暗唱って無理ゲー」と思える。だがその感覚こそが望ましい困難である。この困難さが脳神経学に記憶を強化して望む結果も生成してくれる。

この事実は、認知心理学や教育心理学の研究において最も堅牢な学習法に関する発見の一つとされる。多くの研究やメタ分析(複数の研究結果を統合した解析)が問題を解くことの優位性を証明した。長期記憶への定着率でランドマーク的な研究であるRoediger & Karpicke (2006)の実験では次の結果がでた。

学生を「4回繰り返し読むグループ」と「1回読んで3回テストをするグループ」に分けた。学習の5分後に行われたテストでは「繰り返し読む」グループの成績がわずかに良かったものの、1週間後のテストでは「テストをした」グループの記憶保持率が「繰り返し読む」グループよりも約50%も高くなった。この差は歴然である。

暗唱の代わりにお勧の検索練習

勿論、「一人でも声を出す暗唱ってハズイ」ならばタイパがやや下がるが、読んだモノを閉じて白紙に覚えていることをできるだけ全て書き出すつまりブレインダンプを行う。その後に「これで終わり」と満足しない。そう終わるのでなく読み物を開いて答え合わせをして抜けていた部分を確認し再度のブレインダンブをする。

そのブレインダンブは完全に要点を書き出せるに越したことはない。だがそれに拘ると駄目。合格を目指す為に他にも行うべき勉強は沢山ある。また全ての要点を書き出せない未完で終わることは、「何だかスッキリしない」違和感を覚えさせる。これが脳を完了に駆り立てる効果として次の勉強に向かわせる。数回で終わってよい。

ここまで読み進めて「後の分散学習ってどうするの」と前のめりでご熱心な向きもあるだろう。望む勉強法を容易く入手できるご時世にあってご不満を覚えるのは自然なこと。だが学習法を入手できた結果とそれを実践できることは同値でない。しばしばそれを手に入れたことが「その内にできるから良いわ」と先延ばしをもたらす。

そうなっては本件の解ったつもりの打破、解消もままならない。下手をすると流暢性の錯覚に塗れたままに模試や答練を受けて悲しい結果や、最悪は本試験でもっと惨憺たる結末に直面する。古に曰く「急がば回れ」である。まず解ったつもりの打破に励まれたい。

流暢性の錯覚に関する解消に健闘を祈る